アトピー・食物アレルギー・免疫に関する情報

ピーナッツアレルギーの経口免疫療法薬「AR101」の試験結果の概要

2018年11月30日

2018年11月22日、"The New England Journal of Medicine" にて以下の論文が発表されました。

この論文はピーナッツの経口免疫療法薬の「AR101」に関するヒト試験についてのものです。

この内容は日本でも一部のメディアが医療従事者に向けて要約した記事を発表していますが、一般向けにはまだ公開されていないため、原文の概要をここに書いておきます。

食物アレルギー、とくにピーナッツアレルギーをお持ちの方、チェックしてみてください。

 

※免責事項

このページに書いてある論文に関する内容は「The New England Journal of Medicine」に公開されている論文(>原文はこちらです)を元に作成されたものです。本記事に出てくる「経口免疫療法薬AR101」という表現は原文を翻訳したものです。なお筆者は医療翻訳者ではないため訳出方法によって表現が変わることがあります。あくまでご参考程度にしてください。よろしくお願いいたします。

 

 

ピーナッツの生物学的経口免疫療法薬「AR101」のフェーズIII試験

●背景

承認された治療法のないピーナッツアレルギーは、予測不可能かつ時には生命を脅かすアレルギー反応のリスクのある患者に影響を及ぼす。

 

●試験方法

第3フェーズで、二重盲検において、100mg以下のピーナッツタンパク質(ピーナッツの核部分のおよそ3分の1)を試験的に用い、アレルギー用量制限があるような症状のピーナッツアレルギーをもつ4〜55歳の被験者を、プラセボ(偽薬)を用いて食物負荷試験を行い、スクリーニングした。

アレルギー反応のある被験者は、3:1の割合で無作為に割り当てられ、徐々に用量を増やしていくというプログラムで「AR101(ピーナッツ由来の治験生物学的経口免疫療法薬)」またはプラセボ薬を受けた。

プログラムを完了した(例として、約24週間、1日当たり300mgのピーナッツたんぱくを摂取)参加者は、試験終了時に、二重盲検でプラセボを用いた食物負荷試験を受けた。

一次有効性の到達ポイントは、用量制限の必要な症状なしに「負荷用量600mg以上を摂取できる4〜17歳の被験者」の割合であった。

 

●結果

AR101またはプラセボを投与された551人の参加者のうち、496人は4〜17歳であった。

積極的な治療を受けた372人の参加者のうち250人(67.2%)と、プラセボを受けた124人の参加者のうち5人(4.0%)が、用量制限なしに600 mg以上のピーナッツタンパク質を摂取できた。
試験期間終了時の食物負荷試験において症状の最大重篤度は、中等度がAR101を受けた被験者では25%、プラセボ群は59%であり、重篤だったのはAR101では5%、プラセボは11%であった。

介入期間中の有害反応は、4〜17歳の参加者の95%以上に影響を及ぼした。
AR101を受けた被験者の合計34.7%は、プラセボ群の患者の50.0%と比較して、軽度の有害反応を示していた。症状が中程度だった被験者の割合は薬物群が59.7%でプラセボ群は44.4%、重度は薬物群が4.3%とプラセボ群は0.8%。

18歳以上の参加者には有効性は示されなかった。

 

●結論

ピーナッツに非常にアレルギーのある小児および青年の経口免疫療法の第3フェーズ試験において、

「AR101」を用いた処置により、用量制限症状なしで高用量のピーナッツタンパク質を摂取でき、試験期間終了時の食物負荷試験(food challenge)でのピーナッツ暴露中の症状の重症度がプラセボ群よりも低くなった。

(「Aimmune Therapeutics」による資金提供、PALISADE ClinicalTrials. 試験番号:NCT02635776)。

 

発表者情報について

※ 米国・エモリー大学医学校のBrian P. Vickery氏らが、AR101の有効性と安全性を検証した第III相試験からの報告ーー

The members of the writing committee (Brian P. Vickery, M.D., Andrea Vereda, M.D., Ph.D., Thomas B. Casale, M.D., Kirsten Beyer, M.D., George Du Toit, M.B., B.Ch., Jonathan O. Hourihane, M.D., Stacie M. Jones, M.D., Wayne G. Shreffler, M.D., Annette Marcantonio, M.B.A., Rezi Zawadzki, Dr.P.H., Stephen G. Dilly, M.B., B.S., Ph.D., Daniel C. Adelman, M.D., and A. Wesley Burks, M.D.) assume responsibility for the overall content and integrity of the article. The affiliations of the members of the writing committee and the full names and degrees of all the authors are provided in the Appendix.

 

 

この論文の原文(英語)はこちらです

記事全文は、現時点ではの英語の原文のものなら閲覧できます。

Google翻訳にかけるとちょっとヘンテコになるのですが、ざっくりとなら英語が苦手な方でも内容は掴めると思います!

ピーナッツアレルギー治療の最新情報が気になる方は、ぜひチェックしてみてくださいね〜!

 

参考

>原文:AR101 Oral Immunotherapy for Peanut Allergy - The New England Journal of Medicine

>上記記事をGoogleページ翻訳にかけたものはこちらをご覧ください。

 

 

 

編集後記)食物アレルギーについての補足

ここからは編集後記です。^^

食物アレルギーの改善には、この新薬の開発は期待大ですね!

日本ではダニや花粉症、ネコなどアレルギーの種類によっては「舌下免疫療法」が保険治療として取り扱いが増えてきていたり、お米に低用量のアレルギーたんぱくを入れたようなアレルギー治療食品が開発されたりしているようで、こちらも実用化が進めば良いですね。^^

 

症状が重篤化しやすい食物アレルギーについては現在治療法がないのですが、アメリカではここ数年、家庭で出来るアレルギーケアとして以下のようなサプリメントも有効だとされてきているようです。

  1. マルチビタミン&ミネラル
  2. プロバイオティクス

 

どういうものかというと、プロバイオティクスに、ごく低用量のアレルゲンをミックスしたようなサプリが人気が出始めているそうです。^^

アレルゲンが入ったサプリはちょっと手は出しにくいのですが、その代わりにプロバイオティクスとマルチビタミンは、我が家では2歳の娘(アトピーっ子)と5歳の息子(鼻炎、中耳炎、乾燥肌)に毎日あげています。^^

子ども達は成長につれてどんどん体が強くなっていくので比較することは難しいのですが、去年の同じシーズンよりもお肌も免疫も強くなっています!

アトピママ

うちの娘は「ゴマ」にアナフィラキシーショックを起こすほど重症なアレルギーを持っているので、アレルギーケアは諦めずに続けていきたいと思っています。

 

わがやの子供たちにあげているサプリメントはコチラでまとめていますので、あわせてチェックしてみてください。^^

【アトピーっ子のビオチン療法】③ 子供用サプリ(2歳〜12歳用)

【2歳〜】子ども用の乳酸菌サプリ、安心して飲めるものだけをまとめました

 

あなたのサプリ選びの役に立てたら嬉しいです!!^^

-アトピー・食物アレルギー・免疫に関する情報
-