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【研究論文】親の免疫疾患が遺伝→子孫がアトピー(2019年,デンマーク)

投稿日:2019年3月7日 更新日:

最近、「親の免疫疾患→子供のアトピー」の関連性という、内容的に見過ごせないものだったのでシェアします。

デンマーク・コペンハーゲン大学のCR Hamann氏ら(ヨーロッパ皮膚科学アカデミー)によって2019年2月に発表された、症例対照研究と呼ばれるタイプの研究論文です。

翻訳文は読みやすくするために少しだけ手直ししていますが、専門用語はそのままにしているため読みにくい箇所があるかと思います。

ご了承くださいませ・・m(_ _)m

 

なお論文の原文は【PubMed】に掲載されています。以下のリンクからご覧いただけます。
(原文)Association between parental autoimmune disease and atopic dermatitis in their offspring: a matched case-control study.

【PubMedとは】生命科学や医学に関する参考文献や要約を掲載する無料検索エンジン。 PubMedのデータベースは、アメリカ国立衛生研究所のアメリカ国立医学図書館によって運用されています。

 

親の自己免疫疾患の子孫のアトピー性皮膚炎との関連性

研究の背景

BACKGROUND:
Atopic dermatitis (AD) is associated with many autoimmune diseases, in part due to overlapping genetic risk loci. While parental atopic disease is an important risk for AD in the offspring, little is known on the putative associations between parental autoimmune disease and AD in their children. 

アトピー性皮膚炎(AD: Atopic dermatitis)は多くの自己免疫疾患と関連しており、その一部に遺伝的リスクの遺伝子座(*)が重複することも要因とされている。
(* 遺伝子座: 遺伝子の配列の中の住所のようなもの。遺伝子には特定の形質に関する遺伝情報が存在し、これがお互いに入れ替わったりコピーされたりするような自己免疫疾患がある(らしい)。)

親のアトピー性皮膚疾患は子孫にとってアトピー性皮膚炎の重要なリスクであるが、親の自己免疫疾患と子供のアトピー性皮膚炎との間の推定上の関連についてはほとんど知られていない。

 

対象と方法

MATERIALS AND METHODS:
All children born between 1996 and 2011 who received a diagnosis of AD in the hospital system before their fifth birthday were matched 1 : 10 with children from the general population. Maternal and paternal autoimmune diseases were assessed using registry-based data. Conditional logistic regression was performed on the relationships between parental autoimmune diseases and AD in their children. 

1996年から2011年の間に生まれ、5歳の誕生日の前までに病院でアトピー性皮膚炎と診断を受けたすべての子供たちは一般人口に対し1対10の割合でマッチした。

母親および父親の自己免疫疾患は、登録型のデータを使用して評価された。

条件付きロジスティック回帰(*)は、親の自己免疫疾患と子供のアトピー性皮膚炎の関係性にのっとり実施された。
(* 条件付きロジスティック回帰: データ分析の手法。ある現象の発生確率を、複数の原因と発生する程度を組み合わせて確率を割り出し分析する方法。原因の影響と発生確率の関係性を知ることができる。)

 

結果

RESULTS:
A total of 8589 children with AD were matched with controls. One or more autoimmune disease was identified in 5.89% (506/8589) of mothers to AD children and 3.67% (315/8589) of fathers to AD children compared to 4.85% (4163/85890) and 3.28% (2816/85890) in parents of control children. Maternal autoimmune disease but not paternal autoimmune disease was associated with AD in the offspring (odds ratio [OR] 1.20 [95% confidence interval (CI) 1.20-1.32] and OR 1.08 [0.96-1.22], respectively), Two or more maternal autoimmune diseases, maternal dermatologic autoimmune disease and maternal digestive autoimmune disease were all also associated with AD development in her children (1.96 [95% CI 1.36-2.84], OR 1.60 [95% CI 1.24-2.07] and OR 1.24 [95% CI 1.06-1.45], respectively).

アトピー性皮膚炎を持つ合計8,589人の小児が調整対象となった。

一般小児の両親では母親4.85%(4,163/85,890人)および父親3.28%(2816/85,890人)に1つまたは複数の自己免疫疾患が確認されたのに対し、
アトピーを持つ子供の両親では母親5.89%(506/8,589人)および父親3.67%(315/8,589人)であった。

父親の自己免疫疾患ではなく母親の自己免疫疾患が子孫のアトピー性皮膚炎と関連していた。

2つかもしくはそれ以上の母親の自己免疫疾患、皮膚科学的な免疫疾患、および母親の消化器系の免疫疾患もすべて、さらに子供のアトピー性皮膚炎の発症と関連していた。
(* オッズ比などの数値は、解読が難しいので省略しています)

 

結論

CONCLUSIONS:
The risk of AD is influenced by many factors including atopy status and filaggrin gene mutations. In this matched case-control study, maternal autoimmune disease was associated with AD diagnosis in the offspring. Maternal dermatologic and digestive autoimmune diseases were most closely associated with subsequent AD diagnosis in the offspring.

アトピー性皮膚炎のリスクは、アトピーの状態およびフィラグリン遺伝子変異を含む多くの要因によって影響を受ける。

この一致型症例対照研究では、母親の自己免疫疾患が子孫のアトピー性皮膚炎と関連していた。

母親の皮膚科学的・消化器系の自己免疫疾患は、その子孫のアトピー性皮膚炎の診断において最も密接に関連していた。

--(論文おわり)--

 

内容を(自己流で)噛み砕くと・・・

数値のところが少しわかりにくかったので少しまとめておきます。

私は医療従事者ではなく論文を噛み砕いているだけなので、参考程度に読み流していただきたいのですが、。^^

●一般児では、母4.89%、父3.28% が免疫疾患
●アトピー児は、母5.89%、父3.67%が免疫疾患

この数値は、このように整理できます。

●母親に免疫疾患があると…
一般児 4.85%に対し、アトピー児 5.89%
=母親が免疫疾患だと「1%」アップ

●父親に免疫疾患があると…
一般児 3.28%に対し、アトピー児 3.67%
=父親が免疫疾患だと「0.35%」アップ

 

論文の補足をもう少し

論文について、私の主観を含みますがいくつか補足しておきます。

●データの精度について

この論文は、結果から発生率と影響度を導き出す方法が取られていることと、研究対象のデータが1996年〜2011年と古く、また5歳未満の小児と曖昧で各家庭の環境については無視しています。

1996年というと、PCはありましたが電子カルテが普及されていない可能性があります。どこまで詳細なデータが残っていたのか不明です。

●登録されたデータのソース(情報元)について

また、両親の自己免疫疾患に関するデータも、登録されたデータ(つまり残っていたデータであって生のデータではない)とだけ表現されているため、医師の診断によって「自己免疫疾患がある」と判断されたかどうかは不明です。

例えば、以前取り上げたピーナッツ経口治療薬に関するヒト試験で行われたような「組織的・計画的に被験者を募り、プラセボ群があり、医師の診察による経過観察がまさにその場で行われる」というような精度の高い研究内容とは異なります。

●自己免疫疾患の範囲について

また、自己免疫疾患といっても一般的にはアトピーだけでなくリウマチ、膠原病など色々あります。消化器系の自己免疫疾患とは何なのかも不明です。

 

アトピーの母親として、やっぱり腑に落ちない!!!

ここから思いっきり主観ですが、非常に軽いノリで逆説を考えてみると、こんなことが挙げられるかと思います。

○アトピーのない子でも、母親が免疫疾患を持っているケースは4.85%もあったんだよね?(でも発症してないんだね?)

○「母親に免疫疾患&アトピーの子」が5.89%なら、「母親は疾患なし&アトピーの子」が94.11%もいたってことなの?(それって遺伝以外の要素だよね?)

○1996年(今から20年以上前)のデンマークにおいて、5歳未満の子を持つ父親が自己免疫疾患を自覚して医療機関等を受診することがどれだけあったか?父親よりも母親が自覚しやすい状況は考えられない?
(母親は子供と一緒に皮膚科を受診する機会が当然増えるし、慣れない育児で症状が出ることもあり得る。)

 

よって、この論文はあまり大げさに捉えない方が良いかと思います・・・というのが私の気持ちです。

「母親の遺伝が5%〜」はむしろ「母親→子供に遺伝する確率、思ったより低い!」という印象を受けました。(個人の主観です)

というのも、日本のアトピー協会では「日本人の30%がアトピー素因を持っている」と言われているからです。しかも患者数は年々増えてるし。
(※アトピー素因:皮膚に出るアトピー、気管支喘息、花粉症、鼻炎などを含むアレルギー体質のこと。参考:遺伝的要素 | 日本アトピー協会

 

でも、こういうデータを見ると再確認するのですが、長引くアトピーの犯人探しって本当に不毛だと感じます。

一番肝心なのは、今できるケアをやっているかどうかじゃないの?

体質を「変えること」はできませんが、薬でも何でも使って「コントロールすること」はできます。

生まれてきた子供はアトピー持ちだって喘息持ちだって何だって大事な宝物ですし、母親がアトピーだって子供はお母さん大好きに違いない!!

毎日のケアとたっぷりの愛情で、なんとかしましょう。

・・・というわけで、祖母の代からアトピー素因をしっかり受け継いだ私(もう2人も産んじゃってるし、思いっきり娘にアトピー行っちゃってるよ)による、個人的な感想でした〜。^^

 

※論文の原文は【PubMed】に掲載されています。
(原文)Association between parental autoimmune disease and atopic dermatitis in their offspring: a matched case-control study.

 

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