オーガニックコスメは最近とても流行っているのでどこでも買うことができるようになりました。
保存料、添加物、シリコン、乳化剤、、こういう化学成分にかぶれてしまう人も多いですよね。
特にアトピー肌だと、お肌が敏感で何をつけてもかぶれてしまうという人も少なくないと思います。
だから・・・
「化粧品はなるべく自然派のものを使いたい。」こんな切実な思いは、当然のことです。
しかし、そんな自然派化粧品である「オーガニックコスメ」も、実は諸刃の刃なのかもしれません。
アトピー歴の長い私の耳にも新しい事実が判明しました。
これは決して営業妨害や誹謗中傷ではなく、「注意喚起」を目的として、私たち家族に起こったことをまとめてみたいと思います。
娘のアトピー肌の状態を診てもらいました
先日、新しく出来た皮膚科に娘(当時1歳、アトピーボロボロ状態)を受診させました。
この皮膚科のお医者様(M医師)は、アレルギー科も専門。お話ししたところ、海外のアレルギー事情にもとても明るい方でした。
また「接触性皮膚炎(金属アレルギーなどの症状)」に関してもとても詳しく教えてくださり、信頼できる医師の一人です。
ところが、ここでM医師から聞いたお話は、ちょっとショッキングな内容のものでした。
私の娘(当時1歳半)のアトピーは、一番酷かった昨年の冬(生後1年ごろ)よりかは落ち着いていましたが、やはり炎症が体の全体的にうっすらと残っているため「ステロイドを使うように」と指示がありました。
ステロイドは「ロコイド(普通ランクの強さ)」で、塗る場所は「顔以外の全身」でした。
1歳の乳児なので、強さとしては「妥当かな」、といったところです。ちなみに、私は上の子の湿疹をロコイドで治療した経験があるので、個人的に馴染みがありストレスなく使っています。
(関連記事:【改善例】3歳の子供の乾燥性湿疹:ステロイド&保湿ケアの実例と、2ヶ月後)
「食物アレルギー」に紐づいて知った「経皮感作」という言葉
娘が生後半年を過ぎ、アトピーと乾燥、部分的にじゅくじゅくが酷くなった時の話です。
当時、私はステロイド治療について否定的だったため、自然療法に走りました。(※自分自身の治療経験からそうならざるを得なかったです。)
ステロイド治療の代替として、親子そろって漢方内科に通い、オーガニックのスキンケアを買い漁りました。
にがい漢方薬を1歳にも満たない娘の口にねじ込みながら、ヴェレダベビーの保湿剤やヴェレダのカレンドラクリームを搔き壊し傷に毎日それこそ何回と塗っていたんです。
しかし、このクリームの主成分は「ゴマ油」でした。
私は知らない間に「ゴマ」のアレルゲンを娘の体内に塗り込んでいたんです。
そうして、ある日、いつもの通りに「ふりかけ」をかけたご飯を与えたところ、いきなり吐き戻したあと、顔じゅうミミズ腫れの蕁麻疹が現れ、顔を真っ赤にして大泣き。そのまま救急搬送、となりました。
こうして娘は、クリームの主成分の1つだった「ゴマ」にアナフィラキシーショックを起こすほどの強いアレルギー反応を持つようになってしまいました。
以来、私は、娘が初めて医者にかかる場合には必ずこの「クリームで経皮感作⇨食物アレルギー発症(アナフィラキシーショックほど強い)」のお話をするようにしています。
- ヨーロッパで問題になっているピーナッツアレルギーの要因の1つとして、オーガニック化粧品の存在を知っているか?
- 「ステロイドを使いたくない」という不安から、自然派化粧品に手を出す親の気持ちを理解しているか?
- アレルギーの成立プロセスについてどれだけ知識(持論)を持っているか?
- 「食べこぼし」だけでなく「保湿剤」も経皮感作の経路の1つになり得ることを知っているか?
ささいなエピソードでも、医師の反応によってその方の知識量を垣間みれます。
この話をして、その先生がどんな反応をされるか、どんな解説・理解を示されるかで「皮膚科領域だけでなく、アレルギー領域までの知識量はどうか?」を推し量ることができるので、私にとっては一種の判断基準となっています。
こと、この先生については患者の話をよく聞いてくださる、とても温厚な方でした。なので、私もついつい色々とご相談してしまい、こんな質問をしてみました。
「娘が【ゴマアレルギー】により、突然、アナフィラキシーショックを発症しました。けれど、ゴマはそれまで問題なく食べていました。離乳食開始のころからです。
総合病院の小児アレルギー科の専門医師も【保湿剤が原因の可能性はありますが、だからといって確定とは言えません。ただ、とにかくこの月齢の子(生後14ヶ月)がゴマアレルギーを発症するのは稀なケースです。乳児が最初にアレルギーになるのは、大抵卵白・乳・小麦のどれかなので。】と話していました。
だから、その原因が【ヴェレダに配合されているゴマ油】だという確証がないんです。でも、もし乳児に使うべきじゃないなら、因果関係を知りたいんです。先生はどうお考えですか?」
欧米で流行し始めた「経皮感作によるアレルギー?」
「確かにお嬢さんは「ゴマ油」を多く含むヴェレダのクリームが原因で「ゴマアレルギー」になったと考えて間違いないと思います。」
先生は、こう一旦結論付けた上で、更に説明を続けてくださいました。
「実は10年ほど前から、ヨーロッパでは「ピーナッツアレルギー」や「ナッツアレルギー」が多く発症するようになりました。
ヨーロッパではそれ以前からオーガニックやハーブを多用する文化ということもありますが、とくに湿疹で傷ついた皮膚にステロイド薬などの外用薬の代わりとして、独自の判断・もしくは自然療法を得意とするホームドクターの推奨により、オーガニックのピーナッツ油を多く含むクリームを塗っていたのが原因とされています。
ここまでは、日本のアレルギー学会でも小児学会でも認知されていることですし、お母さんもご存知ですね。」「ところが、最近になって、同じくヨーロッパで「ゴマアレルギー」も多く見られるようになってきました」
ずっと確証が持てなかった「ゴマアレルギー」の原因
「じつは、「ゴマに対するアレルギー」自体はアレルギーの世界では不思議なことでした。なぜなら「ゴマ」という食物はそれほど多く食べるものではないからです。
だから、仮にもし赤ちゃん達が重度のアレルギー体質だとはいえ、普通の食生活をしていて「ゴマアレルギー」になるなんて状況は、考えづらかったんです。そもそもゴマは、ヨーロッパの人はあまり常食しないですしね。
でも、これでスッキリしました。もしかすると、ヴェレダだけでなく、他のオーガニックブランドも同様にクリームの主成分に「ゴマ油」を入れている可能性があります。
ただそれは、すでに食物アレルギー問題が大きくなっている「ピーナッツオイル」や「植物オイル」の代替として、普段あまりゴマを食用しない文化であるヨーロッパが考えついた苦肉の策なのかもしれません。
ただ、私たち日本人はゴマを毎日のように食べますので、気をつけないといけませんね。」
これは先生が話されたお話の3分の1です。ごめんなさい、本当はもっと詳しかったのですが娘が途中でグズってしまいそれどころじゃなくなりました (==;;;
でもこの話を理解していただけて嬉しかった反面、とても残念なことにも気づきました。
私たちが以前かかっていた総合病院の小児アレルギー専門科でも、アレルギー専門医の小児科でも、ここまで詳しい答えは返ってきたことなかったんですよね。
たぶん、これは使う側の体質にもよるものだし、「クリームによって経皮感作」だなんてただの可能性でしかなくて、医学的に立証するのは難しいんだそうです。
(※ 「保湿剤による経皮感作」の詳細は、別のページで取り上げています。>>アメリカでのピーナッツアレルギーと保湿剤の因果関係に関する情報)
私たち消費者にできることは、何だろう
「ヴェレダ」というブランドは私は今も好きだし、企業理念にも共感しています。
ヴェレダの製品にはもちろん、ゴマ油の入っていないものもあります。例えば、万能クリーム「スキンフード」は保湿力がとても高く、ローズオイルを使ったリップも荒れにくいので私も愛用していました。
しかし、肌に引っかき傷のあるような肌に未精製のオイルやアロマ精油を含むオーガニック製品を使う場合は、本当に気をつけていただきたいです。
今や当たり前となった「オーガニック製品」に注意してください
ヴェレダは基本的には、一般的なベビーライン(カレンデュラ)、さらに敏感肌のベビーライン(ホワイトマロー)も発売され、ママやパパから絶大な信頼を寄せられています。
アカチャンホンポなどに行っても、ヴェレダに限らず、エルバビーバやママアンドキッズ・アロベビーなどなど、ママのお化粧水の2倍も3倍もするような高額な保湿剤がバンバン売れているのが分かります。
両親の、切実な願いなんですよね。それは理解しています。私自身がそうですもん・・・。
どんな保湿剤を選ぶかは自由です。でも、買う前に、成分は絶対に見ていただきたいです。
アトピーっ子に使う保湿剤を買うときにチェックすべきポイント
製品を手に取って、ボトルの裏を必ず見て下さい。
表じゃないですよ。表には、都合の良いことしか書かれていないと思った方が無難そうです。
ボトルの裏を見るときは、
【食品由来の香料(精油・油)は入っていないか?】
この2つのポイントを心がけて下さい。
特に、成分表の中に「香料」とだけしか書かれていない物は注意が必要です。
オーガニックであれ何であれ、精油は植物の葉や茎などの成分を凝縮しているので、お肌には刺激が強いのだそうです。
ちなみに「香料」というのは旧指定表示成分の一つで、そもそも、アレルギーを起こしやすいと厚生労働省から指定されています。
※旧指定表示成分についての詳細記事はコチラです。
アレルゲン物質は何であれ、原理はみな同じです。
傷口のある皮膚に使ったら、傷口からアレルゲンが侵入し、用意に【経皮感作】が成立します。
書いてあるんですけどね・・・成分表示の注意書きに「傷口には使わないでください」って。
ちょっとした蚊に刺されなどの傷や軽度のカサつきぐらいのアトピーなら気にせず使っていいと思うのですが、慢性的に傷だらけのアトピーっ子には【禁忌】ということですね。
おわりに
今回は少しシビアな内容になってしまいました。
これを読んでくださった方の中にはヴェレダが好きな方もいらっしゃるかと思います。
ごめんなさい。頑張っているあなたを、傷つける気持ちは一切ありません。
私も、「ヴェレダ」が好きでしたし、今でも企業として環境に対する理念・品質を追求する姿勢には尊敬しています。
「エルバビーバ」も好きでした。ベルガモットの香りが大好きで、疲れた足をよくマッサージしていたっけ。
でも、もう使えなくなってしまいました。。。
アレルギーになってしまった今では、すべてが後悔です。
娘はこれから、ゴマアレルギーと一生付き合っていかないといけないかも。
ゴマアレルギーは辛いです。
赤ちゃんに出ても成長とともに緩和していく卵アレルギーとは反対に、ゴマは、将来アレルギーが緩くなることがあまり期待できないとのことです。
ゴマは本当に多くの食べ物に含まれていて、私の娘は将来 中国や台湾、韓国に旅行に行けないかもしれないです。
ビスケットやカレーにも含まれていることがあり、油断できませんし、ふりかけなんてもってのほかです。
私は、大変な過ちを犯してしまいました。
大切な娘のことなのに、曖昧な知識のまま身勝手に治療を進めたのがいけませんでした。
あなたもぜひ保湿剤の原材料には注意して選んでいってくださいね。
○かぶれにくいボディーソープは「しみずの無添加ボディーソープ」と「ヒューマンフローラ」です。
○保湿剤は「みんなの肌潤ろーしょん」がとても快適に使えました。それぞれの詳しい情報は、各アイテムのリンクをクリックしてご覧ください。^^
大切な人のスベスベ肌と自由な人生・・・守っていきましょうね。
追記)経皮感作の事例に関する情報をまとめました。
こちらでもう少し詳しく保湿剤からの経皮感作についての事例を知ることができます。
少し前の NY Timesの記事ですが、まだ日本ではあまり知られていないことかもしれません。
食物や化学物質にアレルギーをお持ちの方(もしくは疑いのある方)は、ご興味あれば合わせてお読みください。
>【食物アレルギー】ピーナッツアレルギーと保湿剤の関連性(2011年,アメリカ)
そのほかの食物アレルギーなどに関する情報はこちらへどうぞ。