アトピー性皮膚炎と診断されると必ず処方されるのが、ステロイド外用剤。
ステロイド外用剤は皮膚科での「標準治療」であり「アトピーの湿疹に最も適した塗り薬」とされています。
一方、気になるのは「脱ステロイド」や「脱保湿」という言葉。
- この薬は、どれ位強いんだろう?
- どの位塗り続ければいいんだろう?
こんな疑問をかかえながら、いまいち納得出来ないままステロイドをダラダラと塗っていませんか?
初対面の皮膚科医から「痒み止め出しておきますね」と説明もなしにいきなり渡されて、塗り方すら教えて貰えなくて不安ですか?
特に、アトピー肌なのが小さい子供や赤ちゃんだと、必要以上に強い薬は使いたくないもの。
当サイトではステロイドの正しい使い方についてじっくり説明しておりますが、今回は、ステロイド外用剤の強さについてまとめてみました。
また、ドラッグストアでも手に入るようになって認知されてきたアンテドラッグ・ステロイドについても触れてみたいと思います。
ステロイド(処方薬)の強さと種類 一覧
*この表は薬局や処方薬情報で公開されている内容を私が"個人的な備忘録"として編集したものです。
2021年3月18日更新)読者の方からのご指摘により、修正した表を差し替えています。誤った情報を公開してしまい、申し訳ございません。記載されている情報は、2021年3月18日の情報ですが、今後変更になる可能性があります。
ステロイドの種類は多いが、処方されるものはパターン化されている
一言にステロイドといっても多くの種類がありますが、だいたいどこの皮膚科・小児科へ行っても出されるのは同じものが多い傾向にあります。
地域によってお医者様の好みによりけりではあるのですが、上記の表の中では強いランクから挙げるとこうなります。
- 強いランク:マイザー(★)、アンテベート
- 普通ランク:リンデロン、リドメックス(★)
- やや弱いランク:アルメタ、ロコイド(★)
- 弱い:キンダベート
(★=アンテドラッグ・ステロイド)
どの薬をどこに塗るべき?
ステロイドは処方薬なので、基本的に処方されている通りに塗るのが基本です。
ですので、お薬初心者の方は、あまり勝手に判断をしないようには心がけていただきつつ・・・ここで、ステロイドの種類の一般的な例をご紹介します。
塗る場所の目安も記載しましたので、自分はいまここのあたりにいるんだなー、ということを理解するのに役立ててみてください。
強いランク例:マイザー(★)、アンテベートなど
強いランクのステロイドで一番ポピュラーといえるのがマイザー(★)やアンテベートです。大人の手足に出されることが多いです。主婦湿疹にも処方されます。
マイザー・アンテベート=よく効くというイメージのため、これを出されると私も躊躇してしまうのですが・・・
なお、マイザー(★)は「アンテドラッグ処方」になっているため、強さの割には体に残りにくいとされています。
1ランク弱い「リドメックス」などのステロイドを1週間塗り続けても炎症を抑制する効果がない場合(つまりまだ痒い場合)、「マイザー」が処方し直されるようなイメージです。
もしくは大人の手足だったら、ガサガサ・ボコボコとした炎症の状態には「とりあえず」的な感じでマイザーやアンテベートが高確率で処方されます。(皮膚科医の好みにもよりますが・・)
ちなみに、同じランクでも効果の違いは多少あるようです。個人的にはマイザーのほうがアンテベートよりも強めに感じます。(刺激があるという意味ではなく、炎症を抑える力が強いという意味で)
それと、アトピーの患部の状態によって、じゅくじゅく→クリーム、かさかさ→軟膏と使い分けになることもあるし、亜鉛華軟膏やザーネ、プロペトなどの保湿剤と混合となった配合のものだと、軟膏単体よりも「塗る量に対する効果」は低めに感じられるのではないでしょうか。
(そりゃそうよね、濃度が低いので。)
普通ランク例:リンデロンVG、リドメックス(★)など
このランクは実はあまりパッとしません。大人のアトピーで炎症が酷いときは、まず上述した上のランクのステロイド(アンテベートなど)から入るからです。
なので、大人の場合、それよりも軽めの炎症や、小さなお子さんに処方するような場合にこの「普通ランク」のステロイドを出すことが多いかなと思います。
ただし、リンデロンVGは他のステロイドと違い抗生物質のゲンタシンが含まれています。
リンデロンVGは、じゅくじゅくした患部などによく出ますね。じゅくじゅくした湿疹は細菌感染を起こしているから、殺菌効果をプラスしてるわけですね。
なお、「抗生物質なんて、こわいじゃん!」と思うなかれ。細菌感染を起こすともっと重大な病気にかかる危険性が高まりますので早急な対応(つまり殺菌)が必要です。
アンテベートやアルメタ、リドメックスなどのステロイド剤単体だけではアトピーの炎症の治りが悪い、という時はリンデロンVGに切り替えることもあります。
表にもあるとおり、リンデロンVGは、黄色ブドウ球菌などの細菌を殺菌する効果があります。長期使用や中途半端に薬を使うことでゲンタシンに対して耐性を持つ菌が出てきてしまうと、リンデロンVGでも効果が出ないときもあります。そんな時は、塗り薬に加えて抗生物質を服用することもあるようです。
やや弱いランク例:アルメタ、ロコイド(★)など
やや弱いランクでポピュラーなのはアルメタ(★)、ロコイド。
小児科でも皮膚科でもよく出されますね。
うちの1歳の子供は顔にも体にもロコイド(★)を使っていました。ガサガサタイプの炎症が全身にあった時によく処方されました。
小さい子供の全身にアトピーがある場合はロコイドから入る感じでしょうか。
「顔も体も全部コレで」と指示される場合も多いです。正直、「顔も体も本当に同じでいいの?」と不安になりますけど、確かにそれよりも弱いランクでは顔のアトピーにも効かないので納得せざるを得ない感じはありました。
アルメタもロコイド(★)も効きが良いので、大人の顔面や首周りなどの皮膚の薄い所の炎症にも処方されます。
ロコイド(★)が効かないと一つ上のランクのリンデロンVになったり、例えば、顔や耳でもあまりにじゅくじゅくしている「乳児湿疹」や「脂漏性湿疹」の場合は、殺菌効果のあるリンデロンVGになったりします。
ちなみに、私は今アトピーがほとんど治っているのですが、冬場にちょっとした主婦湿疹が出ることがあります。そんな時は、ロコイドを数日塗って湿疹を手早く抑える、というのが私の正攻法です。
弱いランク例:キンダベート軟膏など
弱いランクで一番ポピュラーなのが「キンダベート」です。
小さな子供の顔や、お尻まわりの炎症に処方されることが多いです。また、大人では下着の擦れるデリケートな場所の湿疹に対しても処方されることがあります。
大人の手足や体幹には、使われる事はほぼありません。顔や首、陰部はあり得ます。手足や体幹は皮膚が厚いので、炎症を抑え切ることができないからです。
ここまでが、ステロイド剤のランク別の詳細です。
ステロイド剤の基本を一度おさらい
ここからは、ステロイド剤の基本的な塗り方を簡単にご説明します。
ステロイド剤を使うのは怖いというイメージがありますが、それは誤った使い方をしているからということが考えられます。
効果的な塗り方は、「たっぷりガッツリ塗って塗って塗り続けて、きれいな皮膚になったら徐々に減薬」が基本です。
反対にNGな塗り方は、「塗ってみて少しよくなったからといって早めに切り上げたり、ダラダラ使う」こと。
中途半端に使い続けると、最悪、薬が効かなくなるリスクがあります。そうなるとさらに湿疹が酷くなり、これまでよりも強いランクのステロイドじゃないと抑えられなくなるようになります。
減薬を焦るあまりに無理矢理脱ステロイドに挑戦すると必ず起こるのが「ステロイドリバウンド」という現象。こうなってしまっては、ステロイドのランクもどんどん上がるようになります。
ビビってないで、医師の指示通り使用しましょう!!
アンテドラッグ・ステロイド基本
お待たせしました!ここからは「アンテドラッグ・ステロイド」についてご説明します!
塗り方はステロイドと全く一緒なのですが、その機能が少しだけ、ステロイドとは違います。
まずは基本的な情報を。
アンテドラッグ・ステロイドとは?
肌の表面に塗られた後に皮膚内に浸透し代謝されたとき、効果を失う薬のこと。
塗った患部では効果を示し、その後吸収され、全身では速やかに薬効を消失するように処方されています。
アンテドラッグは、効いてほしいところに効いてくれて、体内に入ると薬の効果が消えます。そのため、効果の強さに対して副作用が少ないと言われています。
ぜんそくのお薬「吸引型ステロイド」もアンテドラッグ処方
「咳喘息(咳ぜんそく)」の治療に処方される吸引型ステロイドもアンテドラッグです。
私はというと、下の子を妊娠していた妊娠初期の時に咳ぜんそくと診断され、吸引型ステロイドを処方されました。
ステロイドに対する恐怖感はこの頃すでにあったので「ス、ステロイド?!す、吸うんですか?!?!」と一瞬身構えましたが、深い咳が何週間も続くと切迫流産が懸念されるため、薬理効果を優先して吸入器を使っていました。
医師からも「ステロイドであっても副作用はほとんどなく、お腹の赤ちゃん(妊娠初期の最も感作しやすい時期)にも影響はない」との説明。
ただやっぱり不安は払拭しきれず、咳ぜんそくについてネットで調べまくりましたけどね・・(^^;
このころはアトピーをかなりこじらせていて医者不振だったのでネットに答えを求めたのですが、ネットの方が詳しく説明してくれていたため、助かりました。(先人の方に感謝・・・T T 。私もこのように悩む人の助けになれたらいいなといつも願っています。)
ステロイドの強さランクとまとめ
最後に、もう一度ざっとおさらいをしておきます。
■ステロイドの強さ
- 強いランク:マイザー(★)、アンテベート
- 普通ランク:リンデロン、リドメックス(★)
- やや弱いランク:アルメタ、ロコイド(★)
- 弱い:キンダベート
■ステロイドの塗り方
- GOOD:たっぷり塗り、きれいな皮膚になったら徐々に減薬
- NG:途中で切り上げたり、ダラダラ使う
このようにステロイドといっても色々な特徴があるんですね。
ステロイドって保湿剤と一緒に処方されることもありますが、この場合は塗り方によっても効果がちょっと変わってくることがあります。
>>関連記事:ステロイド&保湿剤 正しい塗り方
そして、これは何件もの皮膚科に通った経験があるから言えることなんですが、実は、塗り方の指導法も医師によってけっこう違うものなんですよ。^^
だから、もしあなたが「今までステロイドを塗って来たのにいまいち炎症が抑えられなかった」なら、塗り方一つで変わるかも。
あとは、皮膚科医によってはかぶれにくい混合薬を処方してくれる場合もあります。
とりあえずは「よし。ステロイドを塗ってみよう」と決心できたなら、まずは第一関門クリアではないでしょうか。
次にあなたがやるべき事は、処方されたお薬を理解し、実践しながら、
一方で、あなた自身の生活改善にどんどん取り組む事です。
補足)どうしてもステロイドを塗りたくない・・・そんな時には市販の痒み治療薬を試してみて
ステロイドのことは分かったけれど・・それでもどうしてもステロイドを塗りたくない。という方もいらっしゃるかと思います。
または、お医者さんに「アンテドラッグステロイドでお願いします」と言うことができない場合もあるかもしれません。
お医者さん、怖いですよね・・・
私だって、ドクターショッピング歴こそ長いですが、いまだに「アンテドラッグステロイドでお願いします!」なんて言えません・・・
そんな時にカナリ使えるのが、市販で買える痒み治療薬です。
①市販のアンテドラッグステロイド治療薬
まず、炎症がひどい場合は、ドラッグストアで買えるアンテドラッグ処方のステロイド治療薬を使うことが効果的です。(あくまで自己判断でお願いします)
有名なのは、メンソレータムの「メディクイック軟膏」などでしょうか。
私も、手湿疹がひどくて痒みが強くなってしまった時にはメディクイックを使っています。
治りは良いけれど副作用が軽減されているところがお気に入りです。患部がジュクジュクしていたり、ただれているというわけでなければ、どなたでも使えます。
②市販の非ステロイド治療薬
炎症がそれほど酷くない場合、もっと弱い「非ステロイド」のかゆみ止め薬でも効くと思います。
市販の非ステロイドかゆみ止め薬については、より詳しい情報を別のページに掲載していますので、よろしければぜひチェックしてみてください。^^
ステロイドのウソ・ホント、肯定派・否定派、アトピービジネス、、、いろいろ言われていますが、クスリなんて使わないで良いに越したことはありません。
ですが、必要なときは、いつだって誰にだってあります。
麻酔薬なしに、親知らずは抜歯できません。レントゲンなしに、体の内部の異常は知ることができません。
ただ、何を選択するにしても、それはあなたにとって本当に必要かどうかよく考えてみてから、決断する。
そして、一度決断したら、周りに流されないこと。(何よりも自分の決断を信じる!)
それが、結局のところ一番の近道になるのではないでしょうか。
今回は以上となります。
色々書きましたが、あなたのアトピーケアの助けになれたら、とても嬉しいです!
最後までお読みくださりありがとうございました。^^